HonyComb 少女監禁

一人の少女が海沿いの山道を登っていく。
真夏の強い日差しが世界を照りつけ、生温い風が吹き抜ける。

白いワンピースに同じ色の日傘、その姿は強い日差しの下で黄金色に輝いて見えた。
深く青い空にはカモメが舞い、穏やかな波の音が道にまで響いていた。

この道は海岸を削り取っただけのようで、その路面は砂利が剥き出しになっている。
所々に酷い窪み、更には雑草が茂っている場所もあって今では殆ど使われていないようだ。

しかし少女は、そんなことも意に介さないようで前に向かって黙々と歩き続けている。
見渡す限り何もない、こんな辺鄙な場所に何故やって来たのか不思議だった。

それから３０分は歩き続けただろうか？
小さな峠を登り切った所でようやく彼女はその足を止めた。

「ハァ～ハァ～ハァ～」

流石に険しい山道に疲れたのか首を垂れ荒い息を整える。
そうやって少し間を置いた後、ゆっくりと顔を上げた。

夏の日差しを受けた肌は白く煌めき、鮮やかなピンク色をした唇を際立たせる。
スッと通った鼻筋と、クリクリと動く大きな瞳が快活な性格を感じさせていた。

その容姿から想像するに１０代なのは間違い無かった。
白いワンピースもよく似合っており、美少女と言っても差し支えないだろう。

そんな彼女の目線の先には何かの建物が見えた。
まだ距離があったが目的地が何処なのかがようやく分かる。

それはよく見ると古い洋館で、廃墟と言っても差し支えない程にくたびれた代物だった。
石造りの無骨な外観をしており、中世の城のような人を寄せ付けない威圧感がある。
岬の先端に建てられ、細く伸びた尖塔が今にも崩れそうな雰囲気を倍増させていた。

それを見つめる彼女の目には緊張色が浮かんでいる。
だがしかし、それだけではない何かがあるのか…その口から洩れた吐息は甘かった。

そして緊張で見開かれていたはずの両目がすぼまり潤み出す。
…と同時に、健康的に白く輝いていた肌も途端にピンク色に染まっていく。

この驚くべき一瞬の変化の後、熱に浮かされたような表情のまま再び歩き始める。
その足取りは先程よりも早く軽やかで、小走りと言えるほどだった。

まるで廃墟となった館の中に焦がれた待ち人でもいるかのように…。